各界からの
コメント
七尾旅人 / Tabito Nanao / シンガーソングライター
偶然見かけた「息衝く」のインフォメーション。
けして見逃してはならない直感があった。
2006年、六ヶ所村で生きる人々を描いた「へばの」から10年余に及ぶ執念で製作されたというこの続編が、 政党をも有する日本最大の日蓮系新宗教の圏内で生きる若者たちの群像劇であることに驚かされた。
誰も切り込めなかったテーマ、前例のない作品だ。
安易な否定/肯定に偏ることなく、強い当事者性を維持したまま、信仰と政治のリアルな葛藤が映し出される。
抗いきれぬ大きなうねりの中で、個々の登場人物が抱えるストラグルや願いもまた、等しい質量で描写される。
ここに映り込んだ人々を、あなたは、愛せるだろうか、それとも、嫌悪するだろうか。
これほど無防備で、必死で、不器用で、頼りなく、ちっぽけで、壮大で、勇敢な映画は、観たことがない。